
CASAリメイク作家のTammyです。
下記①②から続く旅日記からの続きになります。
【フィンランド旅行記①】わたくしマニアックな日本人作家ですのよ!(笑)
【フィンランド旅行記②】遠路340キロのバスの旅、果たして無事に目的地にたどり着けるのか?
フィンランド調査旅行、3日目はいよいよ私の作品が人生初の海外展示をされる現場に足を運びます!ドキドキ♡
それは「パリで個展をしたい」という大きな夢の実現に1歩近づくためのチャレンジでもあり。
着物日傘を出品した「フィンランド美術賞展(現地展示会名:和 Wa Kansainvälinen Japanilaisen taiteen näyttely Alajärvellä)」、展覧会会場は、アラヤルヴィ市内に3か所に分かれて、日本作家による合計251作品を展示。
- Nelimarkka Museo(ネリマルッカ・ムセオ)(美術館)
- Villa Väinölä(ヴィラ・ヴァイノラ)
- Alajärvi Library(アラヤルヴィ市立図書館)
うち私の作品は宿泊先のホテルから5キロ近く離れたネリマルッカ・ムセオにありました。
6月1日(土)アラヤルヴィ<晴れ>
昨晩から悪寒がして、起きたらまだ頭が熱い。
夢にまで見た着物日傘の作品展示を見に行くという大事な日に限って体調が悪いだなんて…どうしようかと困惑しつつ。
ネットでフィンランドでの体調不良対策について色々と検索してみる。
風邪の引き始めだったら、多少荒療治だけれど、もしかしたらサウナが効くかも!?
展覧会はお昼の12時から開館だったので、とりあえず朝食後近くをブラブラと散歩。
丘を下っていくと、アラヤルヴィ湖が見えてきて、その美しさに心を奪われ、しばらくそのままぼーっと眺めていた。

その後、湖の近くの教会で1人のおじいさんと出会う。
教会の敷地内には小さな花が添えられたお墓がずらっと並んでいたところがあり、そのおじいさんいわく、そこは第二次世界大戦で亡くなった方々のお墓だという。
「なぜ私が1人でここ(アラヤルヴィ)に来たのか?」と聞かれたので、日本から作家として展覧会を見に来ている旨を話して、日傘の英語版のリーフレットと名刺をお渡ししてみた。
興味深そうに見てくださり、しばらくして2人の立ち話を終える。
フィンランドに来て初めて英語版のリーフレットを現地の方に渡すことができて、少しでも日本のことに興味を持ってくださったのがうれしかった。
その後一旦ホテルに戻り、やっぱりサウナに入ってみることに。
ラッキーなことに1人貸し切り状態。
木の香りがサウナ全体に広がっていて、いい匂い。
でも、思っていたよりも熱くはなくて、汗もあまり出ず、ちょっと不完全燃焼。
でも薄暗いサウナで気持ちも落ち着き、ちょうどいい時間にもなったので、朝11時過ぎ、ホテルを出発。
とにかく歩く!歩く!歩く!
目指すネリマルッカ・ムセオまで、湖のほとりをひたすら歩く。
たまに人とすれ違ったが基本はあまり誰もおらず、田園ののどかな風景がどこまでも続く。
途中どこからか1頭の馬がやってきて、そのまま道路をパカパカとどこかに走っていく不思議な光景にも遭遇した。
ようやく会場のネリマルッカ・ムセオに到着
50分以上歩いて、ようやく目的地にたどりつく。
林の中の素敵な会場に心が躍った。
ネリマルッカ・ムセオは、フィンランドの有名な建築家「アルヴァ・アアルト」が設計しており、建築物としても一見の価値あり。
アラヤルヴィはアアルトが幼少期を過ごしたゆかりの地であり、アラヤルヴィ市内にはアアルト建築が10か所ほどあるそうで。
だから、今回の旅では、アアルト建築を見ることも楽しみの1つにしていた。
さて、中に入ってみると、広々とした館内に対し、見学している人はまばら。
実は私が訪れた日の前日まで3日間、日本から総勢50名以上の作家訪問団がアラヤルヴィに来ていて、市長を交えた展覧会のオープニングパーティから現地小学校に訪問しての交流会や和のワークショップ、現地アーティストのアトリエ訪問などとてもにぎやかにイベントを行っていたとのこと。
私は今回色々と事情があってその作家団のツアーへの参加を断念し、ひとり旅で個人的に現地を訪問することにしたので、そのイベントには参加していないけれど、その様子は展覧会のオフィシャルFacebookぺージでも沢山見られます。
>>和 Wa Kansainvälinen Japanilaisen taiteen näyttely Alajärvellä
イベントのお祭りムードが一段落してからの個人訪問だったのもあり、お客様が集中したオープニングの3日間のにぎやかな様子とは正直ちょっと、いや、かなりの温度差を感じたのです。
広くて素晴らしい会場と皆さんの素晴らしい作品たちがちょっと身を持て余しているように感じ、心がキューっと痛くなったのね。
でも、厳しいけれどこれが現実で、また1つ大きな学びがあった。
いくら作品の技術やクオリティが高くても、人を惹きつけるような魅力を感じる要素と人柄、両方共いるのだな。
いくら作家が熱い想いを持っていても、人に響かなければひとりよがりに陥りやすくなる。
はるばるフィンランドまでやってきて、私がここで感じた感情全てが、きっと無形の財産、未来への宝になるはず。
自分の描いていたイメージどおりではなかった現実を目の当たりにし、体感した喜怒哀楽。
ほろ苦いファーストチャレンジを、私はきっとずっと忘れない。
でも個人で行くことは自分で決めたことだから、後悔は全くなく、むしろだんだんと清々しい気持ちになってきた。
だってここからまた私の新たな未来、新たなストーリーが始まるのだから!
気を取り直し、会場内を見てみると、入ってすぐのとても目立つ場所に、私の着物日傘を展示してくださっていた!
これには感激した!
私の作品がとっても誇らしげに見えて、思わず泣きそうになった。
やっぱりはるばるフィンランドまで自分の足を運んでみて良かった。
しばらくすると、私の作品を写真に収めている方々がいたので、思い切ってその方々に声をかけてみた。
いきなり話しかけたのでびっくりした様子だったものの、作品は「beautiful」だと言ってくれた。
着物日傘そのものにはなじみはなくても、日本らしい作品としてきっと何かを感じてくれた方が他にもいるはずだ(想像だけど)。
会期中、フィンランドの沢山の方々に見てもらえたかどうかはわからないけれども、現実として私の作品が、遠くフィンランドの地で展示されたこと。
それは紛れもない事実。
それって私にとってはミラクルな出来事であり、ここまでコツコツと頑張ってきた結果でもある。
今はまだ全部の感情を消化しきれていないけれど、展覧会を見て生まれたいろんな感情は、実際に来てみないと味わえなかった感情であり、それを体感できたことは本当にありがたいこと。
沢山の家族や友人の助けや応援があって、ここまで来れたのだから。
作家としてはまだまだ未熟ながら、今回の展覧会に入選して、皆さんの素晴らしい作品と一緒に展示していただくという貴重な体験をさせてもらえたことに心から感謝感謝です♡
気合だけで何とかなることもある!?(笑)
その後戻りの道の途中で入ったキヨスクで、今回の展覧会のことがトップページと中記事で紹介した地元の新聞らしき新聞を発見!
記念に1つ購入しておいた。
もちろんフィンランド語なので、まったくわからないものの、アラヤルヴィ市が今回の展覧会に全面協力し、日本の作家団を心から歓迎してくれている様子はわかった。
私もささやかながら日本文化の紹介者の1人として、そして作家として、作品を通して国際交流ができたかな。

相変わらず引き続き熱で食欲がないものの、1日で11キロ以上歩けた自分にびっくり。
ピンチの場面でも、人間、気合さえあれば何とかなるものね!(笑)
そうやって頑張った自分をねぎらいつつ、夕方4時でまだまだ外は明るかったものの、水分とビタミンを摂って、マスクをして、後はとにかくひたすら寝ることに。
睡眠を十分取って体力を少しでも回復して、翌日の夕方からのヘルシンキへの戻りの長距離バスに備えます!
①エコバッグ(スーパーやキヨスク、どこでもビニールの買い物袋は一切もらえず、会計後そのまま渡されます)
②ミニ財布(移動を身軽に)
【別に要らなかったかも?】
①スケッチブックと大きな水彩色鉛筆セット(アラヤルヴィは気温が朝晩5度、昼間でも10度程度。とにかく寒くて長時間外に居られず、スケッチする気力と体力がなかったため)
フィンランドの旅は、まだまだ続く。
以上、旅レポでした。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

Casa de Paraguasの日傘は、
<「リメイク」というひと手間の魔法で、想いをカタチに>
という理念の下、託してくださった方に寄り添い、作り手の顔が見えることを大切にしながら、1本1本時間をかけて手作りしています。
お客さまにとって、「世界に1つの宝物」のような、「愛おしい子ども」のような存在になることを願っています。
「こんなもので日傘って作れるのかな?」
「こういう日傘があったらいいな」
お客さまが作ってほしい日傘のイメージに、できる限りやわらか頭で対応します。日傘のこと、お気軽にご相談くださいね。
なお、今オーダー頂きますと、仕上がりは最短で9月末を予定しています。