
CASAリメイク作家のTammyです。
私が今の傘のリメイク制作活動を始めてから、今年で6年目になります。
開業届を出したのが、2013年の7月1日。
開業当初は、制作から納品まですべて自分1人で行っていました。
その後ある大きな出来事がきっかけで、自分1人では事業が立ち行かなくなり(心身ともに1度壊れました…)、悩んだ末「業務委託」という形で仕事のお手伝いをして頂く方を探すことを決めたのです。
今日は、今まであまりお話したことのなかった作品制作の業務委託について気づきがあったので、そのお話をしてみようと思います。
手芸は下手の横好き。なのに、エイヤーと勢いだけで開業届を出してみた。
今のリメイク作家としての活動を始めたきっかけは、息子の妊娠でした。
出産のため当時勤めていた事務所を一旦退職し、急に暇になったことから赤ちゃん関係のグッズを作ろうとミシンを購入をしたのです。
それから気の向いたときにミシンを取り出しては、趣味でちょこちょこ身の回りの小物を作るというペースでした。
物づくりは楽しいけれど、お世辞にもお針仕事は人より上手だと言えるレベルでは決してなかったです。
それが、傘リメイクの自転車かごカバー第1号を作り、半年ほど自分で毎日使ってみてその便利さを実感。
そして、「これを世の中に広めてみたい!そんな仕事があっても良いのでは。」そう思って始めたのが、傘リメイクで作る自転車かごカバーのお店「Casa de Paraguas」です(※現在は傘のリメイク雑貨店として、オーダーメイド日傘制作を中心に行っています)。
で、作家活動をするからにはちゃんと事業として取り組もうと、エイヤーで開業届を出しました。
今思うと、計画性もまったくのゼロ(おそろしい)。
お金も、コネも、スキルさえもないけれど、とりあえず情熱だけはあった!
で、自分の活動を広く知ってもらうために、まずはブログを書き始め、ホームページも自分で何とか作りました。
ここからはかなりの黒歴史なのですが、お恥ずかしいことに開業後半年はご注文数がゼロ。
半年を過ぎて、ようやくポツリポツリとご注文を頂けるようになってきましたが、それでも経費を差し引くとトータルでマイナスになるレベル(汗)。
「リメイクが好き」「傘が好き」というモチベーションだけで、何とか活動を続けているような状態でした。
「LIFE~夢のカタチ~」という番組出演のオファーが届く。
状況が大きく変化したのが、開業翌年の2014年の夏のこと。
元々は雨傘のリメイク雑貨を作っていたのが、次第に傘の構造そのものに興味がわき、「逆に傘そのものを作ってみたい!」って思うようになったのです。
普通の良識ある方なら、きっとそういう妙な流れ(いわゆる逆流!?)にはならないと思います、笑。
試しに日傘を1本見よう見まねで作ってみると、「おぉ、これは何と面白いモノづくりなのだ!」とドハマり。
それからはとにかく日傘をもっと作りたかったので、作ってほしい方をブログなどで募ってみて、最初はほとんど材料費だけで受注をスタートしました。
さらにその翌年の夏、突然ある1通のメールがホームページ経由で届いたのです。
それが「LIFE ~夢のカタチ~」というドキュメンタリー番組の出演オファーでした。
>>テレビ局の番組ホームページはこちら
LIFEは関西ローカルの番組なのですが、【夢を追い、情熱を傾ける人たちに密着する人間ドキュメント番組】として、毎回関西で活躍している料理人やパティシエ、職人など、様々なジャンルの夢追い人にスポットを当てた30分弱のストーリーが放送されています。
私はそんな番組で取り上げてもらえるほど有名でもなく、物づくりは自己流で経験も浅かったので、最初は「これは夢か?それとも詐欺か?」と疑ったほどです。
でも、「リメイク」にかける情熱と夢だけはとにかく大きかった。
それが私のリメイク作家活動の原動力でした。
それでね、その時こう思ったのです。
ただの手作り好きの主婦の私が番組に出演することで、もしかしたら同じように夢を持つ方が勇気の一歩を踏み出したり、自分が何をしたらいいのかがよくわからなくてモヤモヤしている方が、何かの行動を起こすヒントやきっかけを作れるかもしれない。
だから自分が身の丈に合わないことに困惑しつつ、悩んだ末、最終的には出演オファーを受けることを決めました。
心身共に壊れる…で、悩んだ末に業務委託を決意する。
LIFEの放送後の反響は、想像をはるかに超えていました。
「番組に感動しました」というご感想や励ましのメールやお手紙を沢山頂いたり、面識のない方からもコンタクトを取りたいと言って頂いたり。
日傘のご注文もその時一気に集中しました。
とはいえ私の身体は1つ。
ご注文をお受けしても、すぐにお作りすることができず、長い間お待たせしてしまうことを申し訳なく思い、少しでも早く期待に応えようと週末も返上して制作に充てる日々。
作っても作っても終わりが見えませんでした。
次第に何かに追われているような気持ちになり、そのストレスから不眠になり、さらに片耳が聞こえなくなりました。
診断の結果、突発性難聴で、その後は急性のメニエール病にもなり、点滴通いまですることになりました。
心も身体もバランスが取れなくなって、壊れてしまったんですね。
はっきり言って、本末転倒でした。
「お客さまをリメイクで幸せにしたい」と言いながら、作っている私が幸せだと思えないし、家族にも負担や迷惑をかけてしまっている。
どうしたら1番いいのだろうか。
それを必死に考えて、考えて、考えて。
それで出した結論が、自分の容量オーバーについては、1人で抱え込まずに、誰かに手を貸してもらうこと。
今までは、お客さまは「私」を信頼してオーダーをくださっているのだから、全部「私」が作らないと、お客さまを裏切ることになると思っていたのです。
けれども、全部の工程を1人でやらずに、私より得意な方に工程を分けることができたら、その分、私は空いた時間にまた新しいアイデアを練ったり、お客さまとコミュニケーションを取ったり、休日も家族との時間を作ることができる。
結果、私の心と身体のバランスが整うことで、作品そのものにもいい影響が出て、ひいてはお客さまの満足度にも繋がるのではと思ったのです。
それで「業務委託」という形で、事業のお手伝いをして頂ける方を探すことにしました。
手芸は孤独じゃない。「チーム」だからこそできること
そういった経緯があって、私の今の事業は「個人」から「チーム」に大きく変わっていきました。
もちろん、柄合わせや仕上げ、それ以外にも作品のコアになる部分は、どうしても人に譲れないこだわりでもあるので、私が責任を持って担当しています。
けれど、自分1人だけではなく、チームで仕事をすると、仕事がうまく回るという実質的な利点だけではなく、仕事そのものに深みや幅が出るのです。
私がわからないことや迷っていること、チームだと相談することができます。
私が気づかないこと、チームで教えてもらうこともできます。
私が苦しいとき、サポートしてもらうことで、また一緒に頑張ろうって思って、今まで何とかやってこれたところもあります。
今は以前ほど私自身が容量オーバーになることもないので、また自分1人で全部の工程を進めることもできますが、以前のような状態に戻ることは、おそらくもうありません。
チームで幸せになる。
チームでお客さまを幸せにする。
それが私の幸せであり、私のよりどころにもなっています。
昨日もお手伝い頂いているちーさん(仮称)と朝から打ち合わせでしたが、私の指示したこと以上に、「こうした方がより作品が素敵に仕上がると思いましたから」とさらにひと手間をかけてくれていました。
人に委ねることは、「負け」じゃなくて、新しい可能性を作るための「手放し」。
それが業務委託をすることで、私が得た気づきです。
今はまだなかなか軌道に乗っていないけれど、実はいつか叶えたい大きな事業目標があります。
それは、海外への事業展開も視野に入れた日傘以外の着物リメイク雑貨の販売です。
こちらは代表の私がデザインを担当し、縫製は「コミュニティビジネス」として経験豊富な地域のシニア女性を積極採用する業務委託で考えています。
人とのご縁と人生経験は、何ものにも代えがたい宝です。
これからも必要としてくださる方に心から喜んで頂ける作品づくりを目指して、チームTammyは頑張ります☆
以上、ちょっと小話でした!
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

Casa de Paraguasの日傘は、
<「リメイク」というひと手間の魔法で、想いをカタチに>
という理念の下、託してくださった方に寄り添い、作り手の顔が見えることを大切にしながら、1本1本時間をかけて手作りしています。
お客さまにとって、「世界に1つの宝物」のような、「愛おしい子ども」のような存在になることを願っています。
「こんなもので日傘って作れるのかな?」
「こういう日傘があったらいいな」
お客さまが作ってほしい日傘のイメージに、できる限りやわらか頭で対応します。日傘のこと、お気軽にご相談くださいね。
なお、今オーダー頂きますと、仕上がりは最短で12月末を予定しています。
1Dayレッスンでしたら作った日傘をその日にお持ち帰り頂けます。
>>レッスンの詳細はこちらから
※ただし、10月の作品展準備のため、9月10月のレッスン開講はお休みさせて頂きます
(※11月以降のレッスンご予約は、今からでも可能です。)
なお、当店はオーダーメイドだけでなく、着物日傘の完成品やリメイク雑貨なども、少しだけですがオンラインショップにて販売しています。
完成品なので、もちろんすぐにお使い頂けます。
オンラインショップで販売している商品は、着物をリメイク制作した私のオリジナル作品のため、すべて世界にたった1つしかないものです。
そのため、完売しましたら、同じものの再販はありません。
お時間ありましたら、ぜひ1度Online shopもご覧くださいね!